Oh,Them Golden Slippers

Oh,Them Golden Slippers

 あるレコードの解説では「純粋なニグロ・スピリチュアルではなく、1879年にジェームス・A・ブランドという
黒人音楽家がスピリチュアルのスタイルで作ったポピュラーソング」とあります。でも歌詞の内容は十分に
賛美歌です。純粋でないとのコメントは、1865年の奴隷解放後に出来た曲だからだと察します。意味を
優先して歌詞は正確な英語を使います。

Oh, my golden slippers are laid away           私の金色のスリッパはあっちに放ってある。
Cause I don't spect to were'em till my wedding day 婚礼の時まで履くつもりはないから。
And my long tailed coat that I love so well       お気に入りの長いコートを
I will wear up in the chariot in the morn        その朝、馬車にて着飾ります。
Oh, them golden slippers                  ああ、金色のスリッパ
Oh, them golden slippers                  ああ、金色のスリッパ
Golden slippers I'm gonna wear              金色のスリッパを履くよ
Because they look so neat                 よく似合うから
Oh, them golden slippers                  金色のスリッパ
Oh, them golden slippers                  金色のスリッパ
Golden slippers I'm gonna wear              金色のスリッパを履くよ
To walk the golden street                 金色の通りを歩くのに

 この後にも歌詞は続きますが、同じような内容です。どこが賛美歌やねん?と思うでしょ。基本的には
"Swing Low, Sweet Chariot"と同じで、列王記第二の2章11節が元になってます。

「こうして、彼らがなお進みながら話していると、なんと、一台の火の戦車と火の馬とが現われ、このふたり
の間を分け隔て、エリヤは、たつまきに乗って天へ上って行った」
英語では
Then it happened, as they continued on and talked, that suddenly a chariot of fire
appeared with horses of fire, and separated the two of them; and Elijah went up by
a whirlwind into heaven.

 ここでのchariotはベンハーに出てくる物を想像してください。聖書では戦車と訳されます。馬車と云っ
てもよいでしょう。黒人霊歌でchariotはよく出てきますね。身近な乗り物だったからだと察します。クリス
チャンであればキリストの十字架による血のあがないによって罪赦され救われている確信があります。この
世の生活を終えても天国へ行ける安心があります。その「天国への凱旋」のイメージをエリヤに準えてい
ます。次にGoldenとかweddingについては、天国のイメージをヨハネの黙示録から引用してます。

19章7−8節
「私たちは喜び楽しみ、神をほめたたえよう。小羊の婚姻の時が来て、花嫁はその用意ができたのだから。
花嫁は、光り輝く、きよい麻布の衣を着ることを許された。その麻布とは、聖徒たちの正しい行ないである」

21章21節
「また、十二の門は十二の真珠であった。どの門もそれぞれ一つの真珠からできていた。都の大通りは、
透き通ったガラスのような純金であった」

小羊はイエス・キリスト、花嫁はクリスチャンを指します。ただ、キーワードになっている"Golden Slippers"
は聖書に登場しません。 歌詞の最後にあるgolden streetを歩くのにふさわしい履物をイメージしている
と察します。