Shenandoah

 ヴァージニア州周辺で川を行き来する貿易船の舟歌で、最も有名な Sea Chanty です。
 「シェナンドー」は、@川の名 Aインディアンの酋長の名 B酋長の娘の名 と諸説がありますが、
OMCでは@の解釈をとり、ふるさとのシェナンドー川から心ならずも遠く離れてしまった人々の万感
の思いを歌います。

Oh Shenandoah, I long to hear you,
Way-hay, you rolling river
Oh Shenandoah, I long to hear you,
Away, we're bound to go
'cross the wide Missouri

O Shenandoah, I love your daughter
Way-hay, you rolling river
O Shenandoah, I love your daughter
Away, we're bound to go
'cross the wide Missouri

'Tis seven long years since last I see thee,
Way-hay, you rolling river
'Tis seven long years since last I see thee,
Away, we're bound to go
'cross the wide Missouri

Oh Shenandoah, I'm bound to leave you,
Way-hay, you rolling river
Oh Shenandoah, I'll not deceive you,
Away, we're bound to go
'cross the wide Missouri

【大意】
おお、シェナンドー、おまえの流れる音を聞きたい
 *逆巻く河よ
おお、シェナンドー、おまえの流れる音を聞きたい
 *広いミズーリを横切り
 *われわれはおまえから遠く離れていく
   (以下、*印および繰り返し部分を省略)

おお、シェナンドー、おまえの流れる姿がなつかしい

おまえを最後に見てから7年の長い月日がたった

おお、シェナンドー、おまえのもとを去ってはいるが
おお、シェナンドー、おまえを忘れたりはしない

【解説】
私たち大阪メンズコーラスは、次の解釈を採用致します。

《総論》
シェナンドーは、アメリカインディアン・チェロキー族の、「涙の道」の歌である。

《概要》
現在シェナンドーの地名が残っているのは、アメリカ東部、アパラチア山脈の南、
ヴァージニア州のあたりです。シェナンドー川、シェナンドー渓谷、シェナンドー山脈、
シェナンドー国立公園など。そこが映画「シェナンドー」の舞台であり、
ジョン・デンバーの「Country Road」でシェナンドー川のほとりと歌われた所です。
わかりやすく言えば、ワシントンDCから車で気軽に行ける所、
東海岸と言ってもいい所です。
アメリカ中部のミズーリ川、ミズーリ州とは全く方向違いで、
仮にミズーリ川→ミシシッピ川と川伝いに行っても、
地理的にシェナンドー川に行くのは不可能でしょう。
一般的に川を行く舟人達のシャンティーと言われていますが、何か気になります。
ホームページでこの疑問を投げかけている人もいますし、
この歌を訳してみようとした人は、皆一度はそのことを感じるのではと思います。
だからこそ、シェナンドーは、「ミズーリ川沿岸に住むインディアンの酋長の名前」
にしておき、そこから新しい物語を作る方が楽です。
この歌の題名も、Shenandoah だけでなく、
Shennydore, The Wide Missouri, The Wild Mizzourye
など、いくつかあるようです。

ところが、アメリカの歴史を調べているうちに、次のような史実を知りました。
1830年に、アメリカ東南部一帯に住むインディアン諸国家に対し、
ミシシッピ川の西側に移住させる法律が制定されました。
民族間の問題もあったでしょうが、1828年にアパラチア山脈南部で
金脈が発見されたことが大きなきかけとなったようです。
このあたりに住んでいたチェロキー族は、
1938年10月から翌1939年3月にかけて、
オクラホマまで1300キロを移動していきます。
その移動も、白人が武器を使った強制的で暴力的なものでしたし、
冬の気候の元、劣悪な条件の中での移動でした。
移住者総数1万数千人のうち、4分の1が死んだと言われています。
その行程は「涙の道」と呼ばれています。

このインディアン側の気持ちに立ってシェナンドーの歌を考えてみますと、
住みなれた美しい土地から強制的に立ち退かされ、遠く離れていく時の悲しい気持ち、
無念の思いがこの歌を作ったのではないか、と考えました。
この方角から眺めますと、 Oh Shenandoah, I long to hear you, の意味も
すんなり理解できます。聞きたくても聞くことができない無念の思いです。
Away, we're bound to go  /'cross the wide Missouri
これは川を船で行くのではなく、陸路で広いミズーリ州を横切って行くという、
気の遠くなるような気持ちが出てきます。また、行けば行くほど、
シェナンドーから遠く離れていくという悲しい気持ちもあります。
O Shenandoah, I love your daughter この daughter は、
シェナンドー川の自然、及び自然の恵みと考えておきたいところです。
(ジョン・デンバーは、Country Road の中で、mountain momma 母なる山 と言ってます。)

《結論》
こうやって考えていきますと、この歌は「涙の道」の歌であり、
題名は絶対に「シェナンドー」でなければいけないとなります。

【参考資料/よく演奏される歌詞を集大成したもの】

シェナンドーは、インディアンの酋長で、
ミズーリ河のほとりに住んでいた。
白人の男がインディアンの娘を好きになった
彼はカヌーに贈り物を山と積んでかよった

おお、シェナンドー、おまえの娘が好きだ
この川を超えて連れて行きたい
酋長は彼の差し出す金を軽蔑した
娘は、おまえには絶対について行かないだろう

7年間にわたりサリーに求婚し続けた
更にもう7年、願い続けた
彼女はぼくの恋人にはならないと言った
ぼくが薄汚い船乗りだから

ある日アメリカの船長がやってきて
彼女を誘惑した
彼は酋長に石油を売りつけ
娘をさらっていった